仕事

フリーランスになって1年半。独立して本当によかった。

会社を辞め、フリーランスの編集者になって1年半が経ちました。
辞めるまでは、「しばらく何もしないでのんびりして、編集の仕事を続けるか、全く別の仕事をするか考えよう」なんて思っていたのですが、辞める直前にお仕事の話をいただき、あれよあれよと言う間に独立。会社を退職した3日後には、新しい名刺を作って打ち合わせの席に着いていました。

フリーランスになって1年半の今の状況を残しておこうと思います。フリーランスって実際どうなのよ、と思われている方は、一例としてお読みいただければ幸いです。先に結論を言ってしまうと、フリーランス生活は最高です。

仕事の状況

◆紙媒体
現在、仕事はかなり順調です。色々な方からお声がけいただき、企業広報誌・ムック・書籍・専門学校や資格試験のテキスト・ウェブなどで編集したり書いたりしています。

仕事量としてはまだ余裕があります。ですので、今年はどのあたりが肉体的・精神的に余裕をもって仕事ができる量なのかを見極めたいです。夫の休日に合わせて丸一日休んだり、たまには旅行したりもしたいですので、そうした余裕のもてる仕事量がいいですね。

フリーになる前は「本当に仕事があるのだろうか?」「私程度のスキルや経験でやっていけるのだろうか?」なんて不安に思うこともありましたが、実際のところお仕事もいただけていますし、クライアントからOKをもらえる誌面を作れています。

◆WEB
また、フリーになってからWEBの仕事にも取り組み始めました。紙媒体はもちろん好きなのですが、こんな世の中ですし今後はもう少しWEB案件の比率を高めていきたいです。ただ、私の場合WEBと紙媒体ではギャランティーに大きな差があり、現状では紙媒体の方が圧倒的に高いです。WEBの経験を積んでいけば、もう少しギャランティーの差が縮まるのでしょうか。

収入

現時点でも、会社員時代の貯金を取り崩さなくても済む程度の収入を得ています。でも、今後ものんびりした生活を保ちつつ、もう少し稼げたらいいなあなんて考えています。具体的には、税込で400〜500万円くらいが目標でしょうか。都心だったらもっと必要なのかもしれませんが、郊外で家族も夫婦+犬だけなので、これで十分すぎるくらいです。

自営業者は国民年金だけでは老後に立ち行かなくなる可能性が高いので、しっかり稼いで蓄えておかないと怖いですよね。私も少しずつ投資を初めてはいるのですが、節税になる確定拠出年金や小規模企業共済などもちゃんと調べて検討しなければ、と思っています。

身体的な変化

フリーになって痩せた、あるいは太ったということは特にないのですが、体調がものすごくよくなりました。

◆身体の不調が軽減された
会社員時代は偏頭痛、緊張型頭痛、首の痛み、めまい、胃痛、全身の倦怠感など不定愁訴だらけでした。特に頭痛と全身の倦怠感がひどく、頭痛薬も週に3〜5度は飲んでいましたし、毎日本当にくたくたで、帰りの駅のホームで座り込んでしまいたいほどでした。週末もベッドからなかなか出られず、土日の2日間ゆっくり休まないと次の一週間のための体力を蓄えられない、という有様でした。

それがフリーになってからは、めざましく体調が回復しました。私はもともとたくさん寝たい方なので、毎日8時間〜10時間くらい寝ています。そのおかげか、首の痛み、めまい、胃痛はほとんどなくなり、頭痛も月に何度か薬を飲む程度にまで改善しました。倦怠感も一日外へ出かけた日以外はほぼ感じなくなり、体が楽です。腰痛はありますが、これは椅子を変えるべきですね。

◆運動不足…?
通勤がなくなると恐ろしく運動量が減るので、犬の散歩などでそのぶんを補おうとしています。ランニングなどもしたほうが良いのでしょうが、走る・泳ぐ・筋トレなど「ただ体を動かす」というのが苦手で、あまり面白さを感じることができません。学生時代はずっと球技をしていたので、そうしたゲーム性のある運動の方が良いようです。楽しみながらできる運動を早めに見つけないと、ちょっと危険な感じはしています。

精神的な変化

こちらも劇的によくなりました。学生時代のような、自由でのびのびとした気持ちです。

◆自由
一日をどんな風に過ごすか、自分で決められるのはとても良いです。会社員時代は決まった時間に出社しなければならないし、少しくらい体調が悪くても我慢して働かなければいけませんでした。でも、フリーなら仕事さえきちんと納品できれば、何時に起きてもいいし、体調が悪くなったら少し横になって休むこともできます。会社員時代に比べ、自分の生活を自分でコントロールできている感じがするのです。

◆満員電車からの解放
また、苦手な満員電車から離れられたのも精神衛生上よかったと思います。今でも打ち合わせで都内へ行く際には、時間によってはラッシュに巻き込まれます。けれど、これが毎日ではないというだけでものすごく楽になりました。

◆気持ちにも余裕
それから、性格がとても穏やかになりました。会社員時代は毎日のようにイライラして家族にも刺々しい言い方をしてしまったり、喧嘩をしてしまったりして、自己嫌悪に陥る日も少なくありませんでした。今は自分に余裕があるので、イラっとすることがほとんどありません。

生活の変化

◆家事
とにかく、家事の時間がもてるようになりました。

毎日の自炊、家族のお弁当作り、こまめな洗濯、こまめな掃除、Yシャツのアイロンがけ。これらは全部、私が会社員時代にできなかったことです。平日の夕食はほぼコンビニやテイクアウトものだったし、洗濯も掃除も週末まとめてやっていたし(やれない日も多々ありました)、Yシャツは全部クリーニングに出していました。

今はそれらのことが完璧ではないけれど、できています。生活をある程度自分で回せている、という実感が、自己肯定感に繋がっていてとても清々しいです。

◆犬を飼う
また、念願だった犬を迎えることができました。子どもの頃からずっとずっと、一緒に生活してみたいと思っていた犬。実際に飼ってみたら本当にかわいくて、目に入れても痛くないとはこのことかと思います。会社員時代は6時過ぎに家を出て21時〜23時ごろ帰宅、と言う感じだったので、とても犬を飼うことはできませんでしたが、フリーであれば子犬時代の1日3回のフードや数え切れないトイレの世話も問題なくできます(大変だったけど)。

デメリット

もちろんフリーランスになって良くないこと、困っていることもあります。

◆孤独
よく言われていることですが、フリーランスは孤独です。まず会社員時代のような「同僚」がいません。仕事で接する人はだいたい取材先か、クライアントか、こちらから仕事をお願いしている外注の方。仕事の成功を喜んだり、時には愚痴をこぼしあったり、「これってどうしたらいいの?」というちょっとした疑問を相談したり、そんな相手があまりいないんです。

一人暮らしのフリーランスは日々の出来事を家族に話すことも難しいので、さらに孤独かもしれませんね。フリーランス同士でコミュニティを作るとガス抜きになっていいのかも。私は利用したことがないのですが、コワーキングスペースとかシェアオフィスはどうなんでしょうか。息抜きに、世間話をするような空間ではないのかな。

◆年金
また、老後のことはよく考えておくべきです。一定の年数を勤め上げた会社員とフリーランスでは、年金の支給額が全然違います。言うまでもなく、フリーランスの方が少ないです。

資産のある方以外は老後確実に詰みます(支給される年金だけでは暮らしていけない)ので、貯蓄なり投資なり個人年金なり、何らかの対策を立てておかねばなりません。

◆トレンドに鈍くなる(気がする)
私のような取材・打ち合わせの日以外は郊外に引きこもっているフリーランスは、ネット発信のトレンドにはまあまあ強くなれます。でも、引きこもっていると現実世界のリアルなトレンドに鈍くなるんですよね。コーヒーショップの流行りメニューとか、女子高生の靴下の丈とか、今期各メーカーがこぞって出しているネイルの色とか、ポスターのデザインとか、男性のスーツの形とか、いろんなことに疎くなってしまうんです。

そんな訳で、私は打ち合わせがなくても時々都会へ行くことにしています。都会といっても首都圏でいうと新宿や渋谷である必要はなく、ルミネがあるくらいの規模の街、で十分かと思います。大宮とか立川とか。駅ビルをぶらぶらして、買い物して、お茶を飲んで、書店を覗く程度でも街の活況を肌で感じることができます。

◆下請け仕事
以前は出版社に勤めていたので、制作会社から上がってくる原稿を見て、OKを出したり赤字を入れて修正依頼をしたり、と言う立場でした。これがフリーランスの編集者・ライターになると、基本的に下請けの立場になるので、赤字を入れられる側に変わります。

出版社や制作会社とのお仕事はそれほどでもないのですが、一般企業との広報ものなどで担当者が制作に慣れていない人だと、正直なところ理解できない赤字や修正指示も多いです。

もちろんこちらの意見を伝えることも大切です。ただ、「意見はいらない。こちらがお金を払っているのだから言う通りにしろ」的な態度の方もいらっしゃいますから、赤字を受け入れるなり、金輪際仕事を請けないなり、何らかの割り切りが必要です。

フリーランスって使われる立場の人が大多数だと思うので、それが嫌ならどんな分野でも「大先生」みたいな立場になるしかないですね。まあ、会社員も会社の決定には背けないのですが。

実際どうなの?と思っていた点

フリーランスになったら実際のところどうなるんだろう、と少し心配していた点について、記録しておきます。まだフリーになって1年半なので、あまり参考にならないかもしれませんが…。

◆クレジットカード
すみません、フリーになってから一度も作っていないのでわかりません。とりあえず、仕事を辞める前に、事業用とプライベート用で使い分けるために2枚のクレジットカードを作っておくと良いと思います。

◆収入
この記事で記述したように、もうちょっと欲しいことは欲しいですが、黒字です。贅沢しなければ十分です。

◆仕事はあるの?
あります。特に営業はしていないのですが、ありがたいことに会社員時代の取引先からお声がけいただいています。今後もし仕事が減ってきたら営業をしなければいけないと思うので、それまでにたくさん実績を作っておきたいですね。

また、ネットではランサーズに登録していて、利用し始めてからの1年間で数十万円の稼ぎになりました。タスクは試しにやってみたくらいで、基本的にプロジェクトしかやっていません。

◆生活費
会社員時代より全然かかりません。コンビニ飯→基本的に三食自炊にすることで食費も減りましたし、服装もきちんとした打ち合わせ兼お出かけ服が3セットくらいあれば、それ以外はユニクロで十分ですしね。また、飲みに行くことも減りましたので、その点でもお金がかかりません。これはライフスタイルによると思いますが、私の場合は全体的に激減しました。そのぶんちょっといいお米を買ったりして幸せを噛み締めています。

◆税金・社会保険・年金
会社を辞めて1年目は、前年度の収入によりたんまり請求が来るので噂通りできついです。少なくとも50万円くらいは用意しておきましょう。

2年目以降の住民税や健康保険は収入によって異なりますが、とりあえず国民年金は平成29年度の場合、毎月16,490円です。これは収入によって左右されません。

◆確定申告
私は辞めてすぐにフリーとして仕事を始めたので、失業保険はもらわずに開業届を出しました。1年目はfreeeで計算をして申告し、無事に受理されました。会計の知識ゼロでもできましたので、何もわからない!という人には、freeeをおすすめしておきます。

そのほか、以下の本はフリーランスの税制や確定申告について知るうえでとっても参考になりました!

まずはこの一冊。税金などの知識がなくても気楽に読めます。フリーになったら税金とか確定申告はどうなるの?と疑問がある人はまずこれを読むといいと思います。


これも気楽に読み流しつつ、知識をつけられます。マンガも入っていてコミカルな感じ。初心者が抱きがちな疑問なども潰してくれます。


これって経費にできる?と思ったらこれを引きます。Yahoo!知恵袋にもこの手の質問はたくさんあるのですが、情報の真偽がわからないですよね。その点、この本は著者が税理士なので信頼できます(信頼したいです)。手元に置いて辞書がわりに。


たとえfreeeを使っていても、なんの科目になるのがわからないと入力できないんです。こちらは科目がわからない時の辞書がわりに。当然、著者は税理士です。

手放しでおすすめはできません。でも楽しいよ。

◆リスクが高い
ネットではフリーランスと言う働き方のメリットが声高に強調されていますが、良いことばかりではありません。リスクが高い働き方であることを認識しておいた方がよいと思います。

まず収入は青天井である代わりに、最低保証もありません。仕事をしなければ収入はゼロで、税金も払えません。

また、病気になったり怪我をしたり、家族に何かあった場合に代わりを探すのが会社員より困難です。

さらに、仕事で何かトラブルになったときは誰も守ってくれません。自分で弁護士なり行政書士なりを探し、相談し、裁判を起こしたりその費用を払ったりetc、全部自分でやらなければいけません。私もギャランティーの未払いが発生した際は色々と調べ、相談し、闘い、かなり消耗しました。

◆でも楽しい!
このライフスタイルはものすごく楽しいです。毎日通勤しなくていい、会社のよくわからない決め事に従わなくてもいい、それだけでも私の場合は本当に幸せです。自分がこんなに自由を欲していたとは、フリーランスになるまで気がつきませんでした。

週末の「また月曜から会社行かなきゃ」という憂鬱も、毎日の「明日も早いからもう寝なきゃ」という憂鬱もありません。ラッシュを避けるために早起きして寝不足になることもありません。

独立しても仕事をもらえるだけの技能と伝手があったり、すでに副業で20〜30万円くらい毎月稼げていたりしていて、かつ会社員生活が窮屈だと思っている方なら、フリーランスという選択肢はかなりアリだと思いますよ。

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